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2026年6月17日
毎年冬前~春になると増加してくるタイヤの脱輪事故。
タイヤを扱う者としてとても切ない気持ちになります。やはりスタッドレスタイヤの交換作業が多くなるこの時期に多く発生しやすいです。
その原因の多くは締付の忘れですが、適正に取付けられていないことや、適正に取付けることができない状態であったのにそれに気付かず取付けてしまった事などでも脱輪事故に至るケースがあります。
適正トルクを守ってホイールナットを締め付けても、適正トルク以下でも、適正トルク以上でもホイールナットは緩むことがあるんです。
適正トルク以下で取付けたナットが緩むのは想像しやすいですが、何故適正トルク以上で取付けたナットが緩むのか?
これは締め付けすぎによって車両側のボルトが伸びてしまうとか、ホイールの座面が変形してしまうのが要因となります。取付けたその時は問題なかったとしても、その後のタイヤ交換などで適正トルクで取付けてもナットが緩んだり、タイヤ取り外し時にボルトが折れるなどの事象を引き起こします。
この為作業者は適正トルクを守ることを要求されます。
…しかし、適正トルクを守っていてもナットは緩んでしまうことがあります。
これはネジ全てにいえることですが、ボルト&ナットで部材を止める場合ボルトとナットが互いに引張りあう力「軸力」とネジ部や座面接触部等の「摩擦力」で固定されます。クルマの場合は車両ボルトとホイールナットを用いて、車両ハブ面にホイールを固定するとなります。この「軸力」が大きくなりすぎるとボルトは伸びすぎてしまい、強度が落ちたり破断してしまいます。「軸力」が小さすぎると引張りあう力が足りないため、ガタが出てホイール座面の変形等ナットの緩みの原因となってしまいます。「軸力」を適正にすることが重要なんですが、この「軸力」を数値化するのは現実的ではありません。このためホイールナットの締付トルクで数値化していますが、この締付トルクは「軸力」にネジ部およびナットとホイールの取付座面の「摩擦力」の合算したものとなります。
この「摩擦力」の変化により適正トルクでホイールナットを締め付けても「軸力」が不足したり過大になったりします。
具体的には錆びたネジ部や荒れたナット座面等は「摩擦力」を増加させるため適正トルクで締め付けても「軸力」が不足します。逆にネジ部やナット座面の摩擦を”低下させすぎる油脂類”の塗布やナットとホイールの座面の形状の相違等は「摩擦力」の低下により「軸力」は過大となってしまいます。
このため車両ネジ部やホイール取付面のサビの除去や、ナット取付座面の確認は適正な「軸力」を得るためのとても重要な要因となります。
サンデーメカニックの方で特に気を付けていただきたいのがナット座面の形状です。ナットは平座面、球面座面、テーパー座面と種類があり車両メーカーによって違いがあります。当然ホイールもナットの座面形状と同じ取付面になっていなくてはなりません。ホイールを社外品へ交換時にナットは純正を使用するとか、またはその逆もしかり。適合しないナット&ホイールの組み合わせは当店でも頻繁に目にしますのでお声がけして注意を促しますが、この場合は適正な「摩擦力」を得ることができない為のナットの緩みや、ホイール座面の変形及び軸力過大による取付ボルトの伸びや破断等を引き起こします。
しかし適正トルクで締め付けても「軸力」や「摩擦力」が適正であってもまだナットは緩むことがあります。
こんどはホイールと車両の取付面です。ここはホイールと車両ハブ面がピッタリ隙間なく密着していなければなりません、ここに錆や異物等を挟んでしまって取付けてしまった場合です。この場合、適正トルクで締め付けても走行中に振動で錆がならされたり(つぶれて平らになる)、異物が外れたりすることにより取付部に隙間ができてしまい、結果「軸力」の低下→ナットの緩みとなります。
実際にはこのような事象は稀ですが、しかしその稀の事態を防ぐために我々タイヤ整備に関わる作業者は車両ボルトのサビを除去し、ハブ取付面のサビを除去し、適正な油脂を使用したり、トルクレンチで適正トルクで締め付けを行い、業者間で情報共有したり、メーカーの勉強会に参加したりして、なるべくエラーの出ないような仕組みを整えています。
しかしながらそれでも絶対大丈夫はありえません
ここで最後の砦となっていただきたいのがユーザーの皆様です。
タイヤ脱着後はいつもよりホイールナットを気に掛けて欲しいんです。
クルマに乗るときナットの装着状態を確認する、できれば車載のホイールナットレンチで締める方向に少し力を掛けてみる。
タイヤ取付後に初期なじみによりナットが緩むこともあります。このような時は4~5本のナットの内1本だけ少し緩かったりします。完全に緩むとナットは不揃いにホイールから飛び出してきます。
タイヤがいきなり脱輪することはほとんどありません、ホイールナットが緩みホイールと車両取付面に隙間が出来るとガタガタ、ゴトゴトと音が鳴ります。このような時はすぐに安全な場所に停車してナットの確認をしてください。
タイヤ脱落事故を防ぐには、適切な整備と日々の点検が不可欠です。
タイヤ脱落事故はとても不幸な事故につながります。
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